右向きの矢印のアイコン右向きの矢印のアイコン右向きの矢印のアイコン
建築・竣工写真の撮影をカメラマンに依頼する方法|準備・撮影タイミング・カットリストガイド

建築・竣工写真の撮影をカメラマンに依頼する方法|準備・撮影タイミング・カットリストガイド

建築・竣工写真は、設計者や施工者の作品集(ポートフォリオ)となるだけでなく、今後の受注・コンペ参加・不動産販売・PR活動を左右する長期間にわたって活用される重要な資産です。人物写真や料理写真とは異なり、「太陽の光(自然光)と建物の向き」に最も大きく依存するため、事前の段取りが仕上がりを決めると言っても過言ではありません。

また、竣工写真は「一発勝負」という点が他の撮影と大きく異なります。建物完成後は日を追うごとに什器・設備・生活感が加わり、完成直後の状態には二度と戻れません。撮影に失敗したり時間が不足しても、クライアントに何度も撮り直しのスケジュールを依頼することはできません。それだけに、依頼前の準備が成功を左右します。

カメラマン選び:建築写真の経験があるかを必ず確認する

建築写真は、人物写真・料理写真・イベント記録と技術体系がまったく異なります。水平・垂直の正確な整合、広角レンズの歪み補正、空間のボリューム感を引き出す構図の組み立て、複数の照明環境が混在する室内での露出管理など、建築専門のスキルが必要です。

依頼前に必ずカメラマンのポートフォリオ(過去の建築撮影作品)を確認してください。戸建て住宅・商業施設・オフィスなど、自分が依頼したい建物の種類に近い実績があるかを確かめましょう。

撮影目的と使用先をカメラマンに伝える

同じ建物でも、目的によってカメラマンが意識する構図・光の使い方・仕上がりの方向性が変わります。依頼時に必ず用途を共有してください。

主な用途として、設計事務所・工務店のポートフォリオ・Webサイト掲載、施工会社の実績パンフレット・営業資料、施主への引き渡し記念写真、建築雑誌・メディアへの掲載、建築賞・コンペへの応募写真、不動産ポータルサイトへの掲載、Instagramなどのシリアルなどがあります。

たとえば不動産販売用であれば余白のある引きの構図が重視され、建築賞応募用であれば設計の意図やディテールを強調するアーティスティックなカットが必要になります。

図面と所在地を事前にカメラマンへ共有する

建築写真において最も重要な事前共有のひとつが、図面と所在地の情報です。

依頼時に「平面図・立面図」と「正確な住所(GoogleマップのURLなど)」をカメラマンに渡してください。プロの建築カメラマンはこれらをもとに「この方角のファサードを撮るなら、午前中のこの時間がベスト」と太陽の軌道を計算し、最適な撮影スケジュールを組み立てます。図面の共有がないと、このシミュレーションができません。

撮影日時と天候・時間帯の決め方

建築写真の外観撮影は晴れた日の適切な時間帯が基本です。快晴か、あるいは雲が薄く広がる「白曇り」(光が柔らかく均一に回る)が理想です。隣接する建物の影が正面ファサードに落ちる時間帯は避ける必要があるため、撮影可能な時間帯はカメラマンと事前に詳細を確認しておきましょう。

夕景・マジックアワー(トワイライト)の写真を希望する場合は必ず事前に伝えてください。建物に照明が灯り、空が青く染まる日没後の短い時間帯を狙う撮影は非常にドラマチックで人気がありますが、撮影時間が夕方〜夜にかかるため、スケジュールとカメラマンへの拘束時間が変わります。

雨天時のルールも事前に決めておきましょう。「前日正午の天気予報で降水確率が〇%以上なら延期」などの基準と、第2・第3希望日を設定しておくことで、当日のトラブルを防げます。

現場の状態を整えてから撮影に臨む

「少し工事が残っているけれど写らないように撮ってほしい」は、建築写真で最も避けるべきトラブルです。撮影日は以下の状態が完全に整った後に設定しましょう。

美装工事(クリーニング)が完了していること。竣工直後であっても、床・窓・水栓まわり・建具などのクリーニングが終わっていない状態で撮影すると、汚れや養生跡が写り込みます。

仮設物・工事車両が完全に撤去されていること。外観の全景カットを撮るためには、仮設トイレ・足場・工事車両・カラーコーンなどがすべてなくなっている必要があります。撤去完了の日付を事前に確認して撮影日を決めましょう。

通電が完了していること。内観写真や夕景写真では、室内のすべての照明を点灯させて撮影します。仮設電源ではなく本設電気が使える状態かを必ず確認してください。

必要なカットをリスト化して共有する

「建物全体をいい感じで撮ってください」という曖昧な依頼は、後になって「欲しかったカットが撮れていない」という結果につながります。以下の表を参考に、撮影してほしい箇所・優先順位をリスト化してカメラマンに事前共有しましょう。

撮影箇所 事前に決めておくべきポイント
外観(正面・側面) 周辺環境(街並み・庭・外構)を含めた引きの絵が必要か。複数方角から撮るか
エントランス・アプローチ 建物の「顔」として特に力を入れて撮るか
内観メインスペース LDK・エントランスホール・メインロビーなど。空間の広がりを見せたいか、素材感を見せたいか
内観サブスペース 個室・洗面・浴室・トイレなどは全室撮るか、特徴的な部屋のみか
ディテール(寄りカット) 特注の造作家具・階段の手すり・特殊な壁面素材など、こだわりのポイントのアップ
夕景・夜景 マジックアワーの撮影を希望するか。照明デザインを見せたいか

家具・備品の有無を決める(ホームステージング)

内観写真を「空の状態」で撮るか「家具を入れた状態」で撮るかは、事前に明確に決めておく必要があります。

建築作品として純粋に空間を見せたい場合は、あえて何もない状態で撮影します。空間のボリューム感や設計の意図が伝わりやすく、設計事務所のポートフォリオや建築賞への応募に適しています。

不動産販売・住宅カタログ用途の場合は、ソファ・照明器具・観葉植物などを配置した状態(ホームステージング)で撮影する方が、生活のイメージが湧きやすく購買意欲を高めます。家具の搬入スケジュールと撮影日の調整が必要です。

また、家具がある状態で撮影する場合は、私物・段ボール・ケーブル類など「生活感が出るもの」を撮影前にすべてフレーム外へ移動させることが重要です。建築写真において「生活感を排除すること」は仕上がりの印象を大きく左右します。

電線・不要物の削除(特殊レタッチ)を事前に確認する

外観写真では、電柱・電線・隣家の看板・工事車両などが画面に写り込むことがあります。撮影後の画像加工(レタッチ)で電線や電柱を消す「電線消し処理」を希望する場合は、見積もりの段階でカメラマンに相談してください。

電線消し・青空加工・不要物の除去などの特殊レタッチは、通常の色調整とは別に費用・時間がかかることが多いです。事前に確認しておかないと、納品後に追加費用の発生や想定外の納期遅れにつながる可能性があります。

撮影データの用途と納品要件を確定させる

写真の使われ方によって、構図や納品形式が変わります。依頼時に以下の内容を伝えましょう。

使用媒体(Webサイト・パンフレット・雑誌・SNS・建築賞応募など)を明確に伝えましょう。建築雑誌への投稿や建築賞への応募を想定している場合は、高解像度データ(印刷対応)での納品が必要になります。

縦横比や解像度の指定がある場合は事前に共有してください。Webサイト用には横長の写真が多く使われ、Instagramなどのポートフォリオ発信用は正方形や縦長が向いています。用途ごとに撮影時から意識してもらえるようリクエストしましょう。

撮影料金、すぐにわかります。

この記事を書いた人

【経歴】 1987年、広島県生まれ。2006年より報道の現場で活動を開始し、政治・社会・経済ニュースの取材撮影に従事。これまでに1万人以上のタレント・著名人を撮影。2014年10月、ビジネス撮影に特化した写真事務所「deltaphoto」を設立。2017年4月、株式会社デルタクリエイティブとして法人化。現在は、これまでの経験をもとに「ビジネスにおける写真の価値」を再定義し、撮影現場のディレクションおよび品質管理に専念。あわせて、同社プラットフォームを通じて「プロフェッショナルの技術」と「ユーザーの想い」を繋ぐ活動に注力している。

【主な撮影・ディレクション実績】(順不同・敬称略)グーグル合同会社 / 三菱商事株式会社 / ボストン・コンサルティング・グループ / 株式会社NTTドコモ / 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) / 日本テレビ放送網株式会社 / 株式会社サイバーエージェント / 株式会社集英社 / 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ / 経済産業省 / 東京大学 / スペイン大使館 ほか多数

プロフィール詳細X

関連記事

撮影費用、気になりませんか?
企業向け撮影の専門チームが、目的に最適な撮影プランをご提案。まずは無料でお見積もりを。