
不動産ポータルサイト(SUUMO・HOME'Sなど)や物件資料に掲載する写真は、内覧申し込み数・問い合わせ数に直結します。マンション・建売住宅などの販売物件では、写真の質が購入検討者の第一印象を大きく左右します。スマートフォンでも適切な準備と撮り方を身につければ、十分にクオリティの高い写真が撮れます。
物件写真のクオリティを最も簡単に上げる方法は、撮影前の徹底的な清掃と片付けです。リモコン・ティッシュ・コード類・洗剤ボトルなどの生活用品はフレーム外に出し、床・窓ガラス・浴槽・洗面台・キッチンシンクは念入りに清掃しましょう。清潔な印象は内覧意欲に直結します。
撮影当日は、室内のすべての照明を点灯させ、カーテンを開けて採光を最大限に確保した状態でスタートしてください。
物件撮影に用意しておきたい機材をまとめます。
カメラはスマートフォンで十分対応できます。一眼レフ・ミラーレスカメラを使う場合は、広角〜標準レンズ(16〜35mm相当)があると室内全景が収まりやすくなります。
三脚は物件撮影で特に威力を発揮します。水平・垂直が安定するため壁や床のラインが歪まない写真が撮れるほか、全部屋を同じ高さ・角度で統一しやすくなります。三脚使用時はできるだけ低感度・絞り気味に設定し、シャッタースピードが数秒になることも想定しておきましょう。シャッターを押した瞬間のわずかなブレを防ぐため、2秒程度のセルフタイマーを使うのがおすすめです。
そのほか、暗いコーナーの影を和らげるレフ板(白いボードやアルミホイルで代用可)、照明をすべて点灯させるための延長コード、撮影直前の仕上げ清掃に使うマイクロファイバークロス・窓用クリーナーなども持っておくと便利です。

スマートフォンで撮影する場合、ズームを使わず近くで撮ると広角レンズの影響で壁・床・窓枠が歪んで写ります。室内全景はスマートフォンから2〜3m程度離れた位置から撮るのが基本です。部屋の隅(ドア付近)から対角線方向に向けて撮ると歪みが自然に抑えられます。
一眼レフ・ミラーレスカメラを使う場合は、16〜24mmの広角レンズが室内全景の撮影に向いています。歪み補正機能(レンズ補正)があればオンにしておきましょう。三脚に固定して水平・垂直を確認してから撮ると、壁や柱のラインが真っすぐな写真に仕上がります。
部屋が最も明るく見える時間帯(多くは午前中〜昼間)に撮影するのが基本です。部屋の向きによって最適な時間帯が変わるため、事前に確認しておきましょう。
電球色の照明が当たると写真全体が黄色っぽくなります。ホワイトバランスを「太陽光」か「白色蛍光灯」に設定するか、撮影後にSnapseedやLightroomで色温度を調整しましょう。白いクロスや建具が正確な色で再現されることが、部屋の雰囲気を正しく伝えるうえで重要です。
窓に向かって撮影すると逆光になり室内が暗くなりやすいです。スマートフォンのHDRモードをオンにするか、露出補正でやや明るめに設定すると白飛び・黒つぶれが抑えられます。
物件の第一印象を決める最重要カットです。建物全体が収まるよう、道路の反対側から撮影します。晴天の日に撮ると空の青さが映えて印象がよくなります。横向きが基本ですが、2〜3階建てで縦に高さがある建物は縦向きで撮ると全体が収まりやすいです。玄関まわり・表札・ポストなどのクローズアップも1枚撮っておきましょう。
来訪者が最初に目にする空間です。靴や傘立てはフレーム外に出し、スッキリした状態にしてから撮影します。玄関から室内方向に向けて撮ると奥行き感が出ます。横向きが基本です。
部屋の広さを最大限に伝えるため、ドア付近の隅から部屋の対角線上に向けて撮ります。カメラの高さは目線より少し低め(床から約100〜120cm程度)にすると天井の圧迫感が減り、部屋が広く見えます。横向きが基本です。窓・バルコニー方向、キッチン方向など複数のアングルから撮っておくと使い回しがしやすくなります。
洗剤・スポンジ・調理器具はすべて片付け、シンク・コンロ・収納扉をできるだけ清潔に見せてから撮影してください。正面から横向きで全体を撮るのが基本です。引き出しや吊り戸棚を開けて収納量がわかるカットも1枚撮っておくと好印象です。
LDKと同様に、部屋の隅から対角線方向に向けて横向きで撮ります。クローゼット・押し入れの扉を開けて収納量を見せるカットも撮っておきましょう。扉を開けた状態で横向きに撮ると収納の広さが伝わりやすいです。
浴槽・壁・鏡の水垢や石鹸カスをしっかり落としてから撮影してください。浴室全体が収まるよう、ドアを開けた位置から正面に向けて横向きで撮るのが基本です。浴室は暗くなりやすいので、照明をすべて点灯させ、必要に応じて露出補正で明るさを上げましょう。シャワーヘッド・水栓のアップカットも1枚あると設備の新しさが伝わります。
鏡の汚れ・水栓まわりの水垢を拭き取ってから撮影します。洗面台に向かって正面から横向きで撮るのが基本です。洗面台下の収納を開けたカットも用意すると収納力が伝わります。狭いスペースのため無理に全体を入れようとせず、洗面台まわりが清潔に見えることを優先しましょう。
便器・床・壁の清掃を徹底してから撮影します。便座のふたは閉じた状態で撮るのが一般的です。スペースが縦に細長いため、縦向きで撮ると空間の雰囲気が伝わりやすいです。ドアを開けた位置から正面に向けて撮ります。
手すり・床・外壁の汚れを落としてから撮影します。景色・日当たり・広さを伝えることが目的なので、バルコニーの内側から外の景色に向けて横向きで撮るのが基本です。洗濯物干しの設備やスペースの広さがわかるカットも1枚あると親切です。
建物と庭が一緒に収まるよう、庭の端から建物方向に向けて横向きで撮ります。草むらや雑草が気になる場合は事前に整えておきましょう。庭単体の広さを見せたい場合は、建物を背にして庭全体を横向きで撮ります。南向きで日当たりがよければ晴天の日を選ぶと印象が上がります。
駐車スペース全体が収まるよう横向きで撮ります。シャッターや機械式駐車場がある場合は、その設備がわかるカットも用意しましょう。駐車スペースの寸法感が伝わるよう、広角で広めに撮っておくのがポイントです。
扉を開けた状態で横向きに撮ります。奥行きと棚の枚数が伝わるようにしましょう。ウォークインクローゼットの場合は、入口から奥に向けて撮ると広さが伝わります。
不動産ポータルサイトは横長(横向き・ランドスケープ)の写真がメイン表示に向いているため、原則は横向きで統一します。
縦向き(ポートレート)が向いている場面は、トイレなど縦に細長いスペース、外観で建物の高さを見せたい場合(2〜3階建てなど)、バルコニーから空を大きく入れたい場合などです。SNS(Instagram)での発信も想定するなら、縦向きや正方形のカットを別に数枚撮っておくと使い回しが広がります。
【経歴】 1987年、広島県生まれ。2006年より報道の現場で活動を開始し、政治・社会・経済ニュースの取材撮影に従事。これまでに1万人以上のタレント・著名人を撮影。2014年10月、ビジネス撮影に特化した写真事務所「deltaphoto」を設立。2017年4月、株式会社デルタクリエイティブとして法人化。現在は、これまでの経験をもとに「ビジネスにおける写真の価値」を再定義し、撮影現場のディレクションおよび品質管理に専念。あわせて、同社プラットフォームを通じて「プロフェッショナルの技術」と「ユーザーの想い」を繋ぐ活動に注力している。
【主な撮影・ディレクション実績】(順不同・敬称略)グーグル合同会社 / 三菱商事株式会社 / ボストン・コンサルティング・グループ / 株式会社NTTドコモ / 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) / 日本テレビ放送網株式会社 / 株式会社サイバーエージェント / 株式会社集英社 / 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ / 経済産業省 / 東京大学 / スペイン大使館 ほか多数