
Webメディアや採用サイト・社内報などで使うインタビュー・対談写真を社内で撮影する場合のポイントをまとめます。プロに依頼するのが理想ですが、スマートフォン+少しの準備で十分な品質を出すことができます。
撮影に入る前に、どの媒体で使う写真なのかを明確にしておきましょう。採用サイト・社内報・IR・プレスリリース・SNS・プロフィール用など、用途によって求められる構図・表情・服装の方向性が変わってきます。
使用媒体が決まると、縦長・横長・正方形などのトリミング比率も自然と決まるため、撮影時に「どこを余白として残すか」が判断しやすくなります。
撮影前に、使用媒体・掲載期間・肖像権の取り扱いを撮影対象者に明示しておきましょう。「この写真は採用サイト・社内報・SNS・プレスリリースに使用する可能性があります」という旨を事前に告知し、撮影NGの方への対応方法も決めておくと安心です。社内規定として書面や電子メールで同意を取得しておくと、後々のトラブルを防げます。
撮影場所は会議室や撮影用スペースなど、事前に整備できるエリアを選びましょう。パソコン・書類・機密資料などの個人情報が背景に映り込まないよう注意が必要です。
テーブルの上は、余計なものを置かない状態にするのが基本です。コーヒーカップや書類、文房具などが置かれたままだと写真全体が散らかった印象になります。背景にホワイトボードがある場合は、ホワイトボード用のマーカーや消しゴム(イレイサー)がホワイトボードのトレイに置かれたままになっていないか確認してください。これらが映り込むと写真のクオリティが下がります。
「パソコンを使う仕事であることをアピールしたい」という意図でノートパソコンをテーブルに置いて撮影するパターンもあります。その場合は、必ず電源ケーブルやHDMIケーブルなどのコード類をすべて抜いてから撮影してください。配線が写り込むと、それだけで写真全体がごちゃごちゃした印象になってしまいます。これはインタビュー写真に限らず、あらゆる室内写真に共通する注意点です。
服装は会社の雰囲気や業種に合わせ、清潔感のあるスーツやビジネスカジュアルが基本です。髪型・メイクは自然なナチュラルメイクが望ましいです。撮影当日に服装や身だしなみを確認する時間を設けておきましょう。
スマートフォンで撮影する場合、被写体に近づきすぎると広角レンズの影響で顔の形がゆがんで写ります。2〜3m程度離れた位置からズーム2.5〜3倍で撮るのが自然な仕上がりになります。ポートレートモードを使えば背景がぼけて人物が際立ちます。露出補正で少し明るめに調整すると、顔が明るくプロっぽい印象になります。
一眼レフ・ミラーレスカメラを使う場合は、50mm F1.4〜1.8や85mm F1.4〜1.8のポートレート向きレンズが最適です。絞りを開放側(F1.4〜F2.8程度)に設定すると背景がぼけて人物が引き立ちます。室内は暗くなりやすいので、ISO800〜3200程度で明るさを確保しつつ、手ブレ対策としてシャッタースピードは1/125秒以上を目安にしましょう。
窓からの自然光が最も自然な仕上がりになります。被写体に対して斜め45度の方向から光が当たるように位置を調整しましょう。逆光(窓を背にした配置)は顔が暗くなるため避けてください。窓の光が強すぎる場合は、レースカーテン越しの柔らかい光が使いやすいです。
窓のない会議室や暗めの環境での撮影では、リングライトや小型のLEDライトを補助的に使うと仕上がりが大きく変わります。ソフトボックスやレフ板を使って影を柔らかくすると、より自然な表情が引き立ちます。
背景はシンプルなほど人物が引き立ちます。白壁・グレーの壁・木目調の壁が無難です。会社のロゴ、本棚、社内の共有スペースや通路を背景に入れると「この会社で働いている」というイメージが自然に伝わり、採用コンテンツなどで特に効果的です。
背景に使うエリアは、撮影前に映り込む範囲を確認して不要なものを取り除いておきましょう。
基本的には、人物の正面ではなく斜め45度前から撮ると顔が立体的に見えて自然な印象になります。
撮影時は以下の3種類の構図を押さえておくと、後でさまざまな用途に対応できます。
ポートレート(頭〜胸上)は採用サイト・社内報・プロフィール用に使いやすいカットです。半身(胸〜腰)はインタビュー記事やブログ用に向いています。全身(オフィスや職場の背景を含む)は採用サイト・IR・プレス向けに雰囲気が伝わりやすいカットです。
2人での対談写真の場合は、向かい合って話している構図(会話の臨場感が伝わる)と、カメラに向いた並び構図(2人の関係性が伝わる)の2種類を撮っておくと使い回しが広がります。
「では撮ります」と声をかけてからシャッターを切ると、被写体がポーズを取ってしまい表情が硬くなりがちです。インタビューや会話を続けながら、自然なタイミングで連写するのが最も効果的です。
欲しい表情によって、話す相手と内容を使い分けるのがポイントです。仕事への取り組みや専門的な内容について語ってもらうと、真剣で誠実な表情が自然に引き出されます。一方、笑顔が欲しい場合は、インタビュアー役に仲のいい同僚や気心の知れたスタッフに来てもらい、仕事と関係のない雑談をしてもらうのが効果的です。「撮影のために笑ってください」と頼んで作る笑顔より、本人が自然に笑ったタイミングを連写で捉えた方が、見る人に伝わる写真になります。
また、テーブルを挟んで座っている場合は、手をテーブルの下(膝の上)ではなく、テーブルの上に自然に置いてもらった状態で撮影しましょう。手がフレームに入ることで、写真全体に自然な安定感と「話している感」が出ます。
1カットだけ撮るのではなく、同じ構図・角度で10〜20枚程度撮影してから、後で一番自然な1枚を選ぶのが確実です。撮影中に画面で削除する作業はせず、データは後から大画面で確認・セレクトしましょう。
【経歴】 1987年、広島県生まれ。2006年より報道の現場で活動を開始し、政治・社会・経済ニュースの取材撮影に従事。これまでに1万人以上のタレント・著名人を撮影。2014年10月、ビジネス撮影に特化した写真事務所「deltaphoto」を設立。2017年4月、株式会社デルタクリエイティブとして法人化。現在は、これまでの経験をもとに「ビジネスにおける写真の価値」を再定義し、撮影現場のディレクションおよび品質管理に専念。あわせて、同社プラットフォームを通じて「プロフェッショナルの技術」と「ユーザーの想い」を繋ぐ活動に注力している。
【主な撮影・ディレクション実績】(順不同・敬称略)グーグル合同会社 / 三菱商事株式会社 / ボストン・コンサルティング・グループ / 株式会社NTTドコモ / 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) / 日本テレビ放送網株式会社 / 株式会社サイバーエージェント / 株式会社集英社 / 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ / 経済産業省 / 東京大学 / スペイン大使館 ほか多数