
社員証・IDカード用の証明写真を社内で撮影する場合、特別な機材がなくてもスマートフォンと少しの準備で十分きれいな写真が撮れます。写真スタジオに外注するコストを抑えたい場合や、入社・異動のタイミングで人数が多い場合に、このガイドを参考にしてください。
撮影に必要なものは3〜4点です。カメラ(スマートフォンでも可)、白色の撮影用背景紙、レフ板(白いボードや白いコピー用紙でも代用可)、そして三脚です。三脚は必須ではありませんが、あると撮影がスムーズになる場面もあります。詳しくは後述します。
背景紙は、カメラ量販店で販売されている撮影専用のものを購入してください。安価なものは生地が薄くて透けてしまったり、シワが目立つ仕上がりになることがあります。画用紙などではサイズが小さすぎるので注意してください。顔・肩まで入る証明写真の場合、横幅1.3メートル以上のものが必要です。
スマートフォンで撮影する場合は、ズームを使わずに近くで撮ると広角レンズの影響で顔の形がゆがんで写ります。ズーム倍率を2〜2.5倍程度に設定してから、スマートフォン本体を前後に動かして距離を調整してください。
一眼レフ・ミラーレスカメラを使う場合も、できるだけ望遠側(焦点距離85mm〜135mm程度)で撮影すると顔の輪郭が自然に仕上がります。
証明写真は後でトリミングする可能性が高く、使用する媒体(社員証・IDカード・名刺など)によってサイズや縦横比もさまざまです。撮影時はやや広めに余白を取って撮っておくと、用途に合わせて柔軟にトリミングできます。
証明写真は明るい場所で撮影することが基本です。暗い環境で撮ると顔色がくすんで見えたり、背景が白く仕上がらなかったりします。
室内の蛍光灯やスポットライトの真下で撮影すると、鼻の下やあごの下に強い影が出ることがあります。直接頭上から光が当たる状況は避けましょう。
最もおすすめなのは、明るい窓際での自然光を使った撮影です。窓から45度の方向から光が当たるように位置を調整すると、顔に自然な立体感が出ます。窓の光が強すぎる場合は、レースカーテン越しの光が柔らかくて使いやすいです。
自然光が使えない環境や夜間撮影の場合は、LEDリングライトが便利です。均一な光を顔に当てられます。ただし真正面から強い光を当てると顔が平坦に見えることもあるので、角度を少し工夫してみましょう。
逆光(窓を背にして撮影する)は顔が暗くなるため、必ず避けてください。
カメラは被写体の目線と同じ高さか、やや高い位置から撮るのが基本です。上すぎると顔が小さく写り、下からのアングルは鼻が強調されて不自然に見えます。
被写体には顎を少し引いてもらい、カメラをまっすぐ見てもらうよう声をかけると仕上がりが安定します。
撮影は立って行うより、座って行うほうがブレが少なく安定します。座る場合は背もたれのない椅子を使うと、姿勢が整いやすくなります。背もたれに寄りかかると猫背になりやすいため、できるだけ避けましょう。
三脚は必須ではありませんが、手ブレ防止や撮影の安定に役立つ場面もあります。
ただし、三脚に固定すれば全員を同じ構図で撮れるかというと、そう単純ではありません。被写体が立って撮影する場合は、人によって身長が違うため都度高さを調整する必要があります。座って撮影する場合は立ちよりズレは少なくなりますが、それでも座高の違いはあるため完全に揃えるのは難しいです。
三脚を使う場合も、毎回微調整が必要になることを念頭に置いておきましょう。
入社・異動シーズンに多くの人を一括撮影する場合、1人あたり3〜5分を目安にスケジュールを組み、撮影順を事前に共有しておくと当日の待ち時間のロスを減らせます。業務への影響を最小化するため、午前中の早い時間に撮影枠を設けるのがおすすめです。
誰が誰かわからなくなるのを防ぐために、撮影直前に名前や社員番号をA4程度のコピー用紙にマジックペンで大きく書いてもらい、それを持った状態で1枚撮影してから本番の撮影に移りましょう。紙を持ったまま本番撮影する方法もありますが、手の位置が不自然に見えるケースがあるため、プレート撮影と本番撮影は分けることをおすすめします。
撮影後は用途に合わせてトリミングします。社員証・IDカード用であれば4:3または1:1(正方形)が一般的です。額の上から肩元まで入っていれば基本的に問題ありません。
スマートフォンの標準編集機能でも、明るさ・コントラストの微調整は十分できます。背景の白がくすんでいる場合は、Snapseed(無料)などのアプリで「選択的補正」を使って背景部分を白く整えると仕上がりがきれいになります。
より精度の高い補正が必要な場合は、Lightroomモバイル(無料プランあり)やCanvaの背景除去機能(白背景への差し替え)も活用できます。
【経歴】 1987年、広島県生まれ。2006年より報道の現場で活動を開始し、政治・社会・経済ニュースの取材撮影に従事。これまでに1万人以上のタレント・著名人を撮影。2014年10月、ビジネス撮影に特化した写真事務所「deltaphoto」を設立。2017年4月、株式会社デルタクリエイティブとして法人化。現在は、これまでの経験をもとに「ビジネスにおける写真の価値」を再定義し、撮影現場のディレクションおよび品質管理に専念。あわせて、同社プラットフォームを通じて「プロフェッショナルの技術」と「ユーザーの想い」を繋ぐ活動に注力している。
【主な撮影・ディレクション実績】(順不同・敬称略)グーグル合同会社 / 三菱商事株式会社 / ボストン・コンサルティング・グループ / 株式会社NTTドコモ / 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) / 日本テレビ放送網株式会社 / 株式会社サイバーエージェント / 株式会社集英社 / 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ / 経済産業省 / 東京大学 / スペイン大使館 ほか多数