
整体院・整骨院において、患者様は「自分の身体を触らせる」という非常にデリケートな決断をして来院します。写真を通じて「ここは清潔で安全だ」「この先生なら話をきちんと聞いてくれそう」という安心感と信頼感をいかに伝えられるかが、新規患者の獲得を左右する最大の鍵です。カメラマンに依頼する前に、院内で整理しておくべきことをまとめました。
どのような悩みを持つ患者様に来院してほしいかによって、モデルの選定・照明の雰囲気・写真全体のトーンが変わります。依頼時に以下の情報を共有しましょう。
ターゲット層を絞って伝えましょう。「肩こり・腰痛に悩む30〜40代のオフィスワーカー」「産後の骨盤矯正をしたい女性」「スポーツ障害を抱える学生」など、メインとなる患者層をカメラマンに伝えます。
院の強み(ウリ)も言語化して共有してください。手技(マッサージ・骨格矯正)がメインなのか、最新の物理療法機器(ハイボルテージ・超音波など)がメインなのかを明確にし、それらがしっかり写るように依頼します。
「適当に院内を撮ってください」という曖昧な依頼では、後から「欲しかったカットが撮れていなかった」というトラブルになります。初診の患者様が抱く「どんな場所で、誰が、何をするのか」という不安を解消するカットを網羅してリスト化し、カメラマンに事前共有しましょう。
院内の複数エリア(待合室・施術室・受付)を撮影する場合は、動線と撮影順を整理した香盤表(タイムスケジュール)を作成するとカメラマンが当日効率よく動けます。
「院内が暗いので写真が撮れるか心配」という声をよく聞きますが、プロのカメラマンは撮影用の照明機材(ストロボ・LEDライト)を持参するため、窓のない薄暗い施術室や夜間でも明るくきれいな写真を撮影することができます。開院前や閉院後の時間帯でも、照明機材で光を作り出すため問題ありません。
ただし一点だけ注意が必要です。窓や採光窓が近くにある場所では、外からの自然光と室内の照明がぶつかって光の方向が混乱し、かえって難しい撮影条件になる場合があります。特に窓が大きく光が強く入り込む環境では、明るすぎる窓を背景に撮影するとシルエットになりやすく、逆に窓が暗い時間帯だと窓が真っ黒に写り込んでしまうことがあります。こうした懸念がある場合は、事前にカメラマンに院内の写真や採光条件を伝えておくと、最適な撮影時間帯と照明プランを提案してもらえます。
施術風景やカウンセリングシーンの写真は最も見られる重要なカットです。誰をモデルにするかで写真全体の印象が決定づけられます。
スタッフ同士で患者役を交代する・常連の患者様にお願いする・プロのフリーランスモデルを手配するなど、いくつかの方法があります。いずれの場合も、ターゲット層に近い年齢・性別のモデルを起用するのが効果的です。
モデルの服装は、派手な柄やロゴの入った服は避け、無地のTシャツ・スウェット・患者様用の院内着など、清潔感があり体のラインや動きがわかりやすいものを用意しましょう。
医療・ヘルスケアの現場において、不衛生な印象は致命的です。プロのカメラは解像度が非常に高く、肉眼以上にアラを捉えてしまいます。撮影前日までに以下を整えてください。
施術ベッドのシーツ・枕カバー・フェイスクッションのカバーは新品またはアイロンがけをしたシワのないものに替えます。電気治療器のコード類・テーピングの切れ端・ローションのボトル・スタッフの私物は写真のノイズになるため見えない場所に収納してください。壁に貼ってある手書きのPOPや人体図なども、撮影時に外すかどうかを事前に判断しておきましょう。
スタッフ・モデル・患者様など、写真に写る人物の肖像権については必ず事前に書面での同意を取得してください。口頭での了承ではトラブルの原因になります。
特にスタッフをモデルに起用した場合、「撮影後にそのスタッフが退職した場合の取り扱い」を事前に確認しておくことが重要です。退職後もホームページや広告に写真を使い続けたい場合は、その旨を同意書に明記しておきましょう。退職後に「写真を削除してほしい」と言われてから対応するのでは遅く、患者様が多く閲覧するトップページの写真を差し替える事態になりかねません。
同意書には使用目的(ホームページ・Instagram・チラシ・求人媒体など)と使用期間を明記してください。
整骨院(柔道整復師)・鍼灸院などは法律や広告ガイドラインによって表現に制限があります。ホームページへの掲載を目的としたビフォーアフター写真(「過度な効果を保証するようなビフォーアフター」)は医療広告ガイドラインに抵触する恐れがあるため、撮影前に慎重に判断してください。カメラマンに依頼する前に、掲載予定のコンテンツについて確認しておきましょう。
【経歴】 1987年、広島県生まれ。2006年より報道の現場で活動を開始し、政治・社会・経済ニュースの取材撮影に従事。これまでに1万人以上のタレント・著名人を撮影。2014年10月、ビジネス撮影に特化した写真事務所「deltaphoto」を設立。2017年4月、株式会社デルタクリエイティブとして法人化。現在は、これまでの経験をもとに「ビジネスにおける写真の価値」を再定義し、撮影現場のディレクションおよび品質管理に専念。あわせて、同社プラットフォームを通じて「プロフェッショナルの技術」と「ユーザーの想い」を繋ぐ活動に注力している。
【主な撮影・ディレクション実績】(順不同・敬称略)グーグル合同会社 / 三菱商事株式会社 / ボストン・コンサルティング・グループ / 株式会社NTTドコモ / 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) / 日本テレビ放送網株式会社 / 株式会社サイバーエージェント / 株式会社集英社 / 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ / 経済産業省 / 東京大学 / スペイン大使館 ほか多数