
「採用サイトの写真、社員がスマホで撮ったもので十分かな」「フリー素材でも問題ないでしょ」——そう思っている採用担当の方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
写真の種類ひとつで、応募数が大きく変わるという調査結果が、複数の機関から報告されています。本記事では「どの調査が何を示しているか」を出典とともに整理しています。
「写真でそこまで差が出るの?」と思われるかもしれません。具体的な数字を、調査ごとに確認していきましょう。
英国のフォトグラフィースタジオ Visual Chaos Studios の記事 によると、Shopifyが実施した調査ではプロ品質の写真を使った商品の CVR は、低品質写真と比較して平均33%高かったと報告されています。同記事ではイギリスの家具ECサイト Made.com の事例として、高品質写真への切り替えでCVRが35%上昇したことも紹介されています。
写真マーケティング会社 Think Nectar による Nectar Case Study「Image is Everything」 では、低品質な写真からプロ撮影写真に切り替えることで、CVRが15〜20%向上した事例が示されています。
オーストラリアのクリエイティブエージェンシー Amplify Creative Lab の 調査記事 によると、サービス系LPや採用ページにプロ撮影写真を導入した企業では、
といった変化が報告されています。
※ これらの数値は複数の事例にわたる報告をまとめたものです。すべての企業・業種で同じ数値が保証されるわけではなく、「改善の典型的な範囲」として参考にしてください。
複数の記事で「複数サイトのA/Bテストで平均+27%、最大+45%」という数字が流通していますが、StylePhotos の記事 を含む複数の英語記事が「高品質写真で数十%単位のCVR向上がある」という方向性を共通して示しています。ただしこの27%という数字は、Shopifyの+33%やNectarの+15〜20%など複数の事例を横断的に概数化した代表値である点に注意が必要です。方向性は複数のデータと整合しますが、「ひとつの統合された統計実験」の結果ではない可能性があります。
CRO(コンバージョン最適化)の専門研究機関 CXL Institute による 「Stock Photos vs. Real Photos」の調査記事 は、ストックフォトを使ったLPは実際の顧客・社員の写真を使ったLPと比較してCVRが低下し、信頼性も下がるという結果を示しています。同記事では、リアル写真の方がストックフォトよりも「申し込み・問い合わせが35%以上多くなった」ケースも紹介されています。
フリー素材の問題点を採用文脈で整理するとこうなります。
コンバージョン最適化ツール VWO のブログ 「Do Human Photos Increase Website Conversions?」 では、抽象的なイラストを使用したLPと、アーティスト本人の写真を使ったLPでA/Bテストを実施した結果、CVRが8.8%から17.2%へと約95%向上した事例が報告されています。
「顔のある写真」は、訪問者の信頼感と感情的な共感を高める効果があると考えられています。採用サイトにおいても、実際に働く社員の自然な表情が写った写真が、「入社後のイメージのしやすさ」に直結します。
「応募数が2倍になる?おすすめ求人広告の写真撮影のコツ」(株式会社エーデュケーション) などの国内コラムでは、求人媒体に掲載する写真を「条件はそのまま・写真だけ変える」形で入れ替えたところ、応募数が1.5〜2倍に増えた企業事例が複数紹介されています。
特に以下の写真に変更したケースで応募数の増加が報告されています。
また 「写真やSNS運用で応募数が2倍になる!その理由を求職者目線で」 では、建設業の中小企業が求人媒体の写真を刷新したことで応募数が2倍以上に増加した事例も紹介されています。同記事では「写真1枚に含まれる情報量は文字の約7倍」とも説明されており、視覚的な情報の多さが応募意欲を後押しする理由のひとつとして挙げられています。
カナダのコマーシャルフォトグラファー Robert Lowdon が featured.com に掲載した 「The Role Images Play In Enhancing Employee Recruitment Strategies」 では、実際の社員写真を導入したことで CTR・CVRが20〜40%程度改善し、応募数が30%増加したという経験談・事例が示されています。
スマホのカメラは近年で格段に進歩しており、「スマホでも十分では?」という疑問はもっともです。ただし採用サイトで使う写真には次のような壁があります。
採用サイトは求職者にとって「入社前に会社の雰囲気を判断する場所」であり、写真が与える第一印象は非常に大きいといえます。
プロ撮影の費用を仮に1日20万円とした場合、その写真を2〜3年間使い続ければ月割りで数千円〜1万円程度のコストです。一方、応募数が増えれば以下のような費用が削減できます。
応募数が増え、質のいい候補者が来るだけで、撮影費用はすぐに回収できます。採用写真は、一度投資すればずっと使える「採用資産」です。
採用サイトの写真を変えることは「なんとなくきれいにしたい」という話ではありません。応募数・応募の質・内定承諾率・入社後のミスマッチ、これらすべてに写真は影響しています。
複数のデータが示すとおり、プロ撮影の写真を使った採用サイトは、そうでない場合と比較して問い合わせ・応募数が増加する傾向があります(Amplify Creative Lab調査では+25〜50%、国内事例では1.5〜2倍の増加が報告されています)。
採用活動に力を入れているのに、写真がネックになっているとしたら——それは非常にもったいないことです。
本記事で紹介した数値は、以下の調査・記事をもとにしています。なお、各数値は特定の事例・調査における報告値であり、すべての企業・業種で同様の結果が保証されるものではありません。
【経歴】 1987年、広島県生まれ。2006年より報道の現場で活動を開始し、政治・社会・経済ニュースの取材撮影に従事。これまでに1万人以上のタレント・著名人を撮影。2014年10月、ビジネス撮影に特化した写真事務所「deltaphoto」を設立。2017年4月、株式会社デルタクリエイティブとして法人化。現在は、これまでの経験をもとに「ビジネスにおける写真の価値」を再定義し、撮影現場のディレクションおよび品質管理に専念。あわせて、同社プラットフォームを通じて「プロフェッショナルの技術」と「ユーザーの想い」を繋ぐ活動に注力している。
【主な撮影・ディレクション実績】(順不同・敬称略)グーグル合同会社 / 三菱商事株式会社 / ボストン・コンサルティング・グループ / 株式会社NTTドコモ / 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) / 日本テレビ放送網株式会社 / 株式会社サイバーエージェント / 株式会社集英社 / 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ / 経済産業省 / 東京大学 / スペイン大使館 ほか多数