
コーポレートサイトの役員紹介・採用サイト・LinkedIn・名刺・プレスリリースなど、ビジネスプロフィール写真はさまざまな場面で「会社の顔」として使い続けられる重要な素材です。「とりあえず綺麗に撮ってもらう」という依頼の仕方では、納品後に「思ったのと雰囲気が違う」「使いたい媒体に合わない」というトラブルが起きやすくなります。事前に決めておくべき情報を整理してカメラマンに共有することで、撮影当日のスムーズな進行と高いクオリティを両立できます。
同じ「プロフィール写真」でも、使われる媒体と見せたい印象によって、構図・ライティング・表情の作り方がまったく変わります。依頼時に以下の情報をカメラマンに伝えましょう。
主な使用媒体をリストアップしてください。コーポレートサイトの役員・社員紹介ページ、LinkedIn・FacebookなどのビジネスSNS、名刺・会社案内パンフレット、採用サイト・Wantedly、講演会・セミナーの登壇者紹介資料、プレスリリース・メディア掲載用宣材など、用途によって必要な縦横比や余白のとり方が変わります。
見せたいペルソナと雰囲気も言語化しておきましょう。「コンサルタント・士業向けの知性と信頼感(カッチリ)」「ベンチャー経営者の熱量と革新性(動きのあるカジュアルなポーズ)」「採用担当者の親しみやすさと誠実さ(笑顔)」など、誰にどんな印象を与えたいかを言葉にすることで、カメラマンはライティングやレンズの選び方を変えることができます。
言葉での説明が難しい場合は参考画像を用意してください。他社のWebサイト・SNS・雑誌で「この雰囲気に近い」と感じた写真を数枚スクリーンショットしてカメラマンに見せるのが最も確実です。NGイメージを1〜2枚添えると、方向性がさらに絞り込めます。
背景と撮影場所は、写真が伝えるブランドイメージに直結します。主な選択肢と特徴を整理します。
スタジオ(白・グレー・カラー背景紙)は、清潔感があり最もフォーマルな印象を与えます。Webサイトのデザインに合わせて後から背景を切り抜き・合成したい場合はこちらが必須です。全員同じ背景で統一感を出したい大人数撮影にも向いています。
自社オフィス(会議室・エントランス・執務スペース)での撮影は、「この環境で働いている」というリアルな空気感と透明感を伝えられます。採用サイトや企業の世界観を重視したコーポレートサイト向けに適しています。カメラマンが照明機材を持ち込むため、暗い会議室でも問題なく撮影できます。
屋外ロケーション(オフィス街・公園・テラスなど)は、光が柔らかくオープンで親しみやすい印象になります。カジュアルなスタートアップ・クリエイティブ系企業のプロフィールや、採用向けの自然体カットに向いています。
希望する背景のイメージをカメラマンに共有する際は、色・素材感・明るさ・ボケの有無なども伝えておくとスムーズです。
撮影人数と必要なカット数は、拘束時間と見積もりに直結する最重要情報です。依頼時に必ず共有しましょう。
対象人数として、社長1名のみか、役員複数名か、全社員数十名かによって、必要な時間と費用が大きく変わります。また、バストアップのみか全身カットも必要か、左右両方向のアングルが必要かも事前に決めておきましょう。
Webサイトのヘッダー画像で人物の横にキャッチコピー(文字)を入れたい場合は「文字を入れるための余白(引きの絵)を多めにとってほしい」とリクエストできます。使用媒体に合わせた縦横比(16:9・4:5・正方形など)の希望も伝えておくと、後からトリミングで困る事態を防げます。
複数名をまとめて撮影する場合、1名あたりの所要時間はスケジュール設計の要です。
上記とは別に、カメラマンが到着後にライティングのセッティング(約30分、背景紙使用時は約40分)と撤収作業が必要です。2時間の撮影枠であれば実質の撮影時間は1時間〜1時間20分程度になります。スケジュールを組む際はこの点も踏まえてください。
複数名まとめて撮影するプロフィール写真では、全員の服装の統一感が会社のブランドイメージに直結します。撮影前に社内で以下の点を周知しておきましょう。
ネクタイは全員着用する・しない、ジャケットは全員着用する・しない、社章はつける・つけない、名札はつける・はずす、服装の自由度(完全統一か各自の判断か)を明確に決めて伝えておきましょう。
業種別の服装の目安は次のとおりです。
服のネクタイや上着の色で迷う場合は、候補を複数持参して撮影当日に実際に合わせながら決めることも可能です。なお、白背景の前で白い服を着用しても、陰影のつくライティングを行えば背景に溶けることなく撮影できます。
予算が許すなら、プロのヘアメイクアップアーティストを手配することも検討されるとよいでしょう。プロのカメラは解像度が非常に高く、服のシワや髪の乱れは肉眼以上に目立ちます。男女問わず肌のトーンを均一にし、強い照明に負けない立体感を出すだけで、仕上がりのクオリティが格段に上がります。
カメラマンへの依頼時にヘアメイクが必要かどうかを伝えてください。カメラマン側でヘアメイクアーティストをオプション手配できる場合と、自身で手配が必要な場合があります。
自身でヘアメイクを整えて撮影に臨む場合は、撮影前日にシャツのアイロンがけ・ジャケットのクリーニング・散髪を済ませておくことが最低限の準備になります。
大人数のプロフィール撮影では、進行の流れを担当者が設計しておくことで当日の撮影効率が大きく変わります。
撮影順リストをあらかじめ作成し、次の方が撮影スペースの前で待機できる体制を整えておきましょう。身だしなみチェック用の姿見と、バッグ・荷物を置くスペースも確保してください。納品後に「誰が誰かわからない」を防ぐため、A4カードにお名前を書いて一緒に写す場合は1人あたり+15〜30秒を見込んでおきましょう。
担当者が撮影中も立ち会って、撮れた写真をその場でカメラマンと一緒に確認しながら進めることが重要です。「もう少し笑顔を引き出してほしい」「影の入り方を変えてほしい」などの調整はその場でしか対応できません。
撮影後の実務的な確認事項を事前に整理しておきましょう。
納品形式として、Web用(軽量・低解像度)か印刷用(高解像度)かによって必要なファイルサイズが変わります。ファイル形式(JPEG・RAW・TIFF)の希望があれば伝えておきましょう。縦構図・横構図の必要枚数も合わせて確認してください。
レタッチの方向性として、明るさ・色味の基本調整のほか、肌のくすみや一時的な吹き出物の修正、どこまで加工を希望するかを事前にすり合わせておきましょう。過度な修正は対面したときの信頼を損なうことがあるため、「自然な範囲での補正」という方針が一般的です。追加のレタッチ費用・納期への影響を見積もりの段階で確認しておくことをおすすめします。
著作権については、カメラマンやサービスによって利用条件が異なります。Webサイト・採用サイト・SNS・印刷物など複数媒体での使用を予定している場合は、利用範囲と期間について見積もり段階で確認しておきましょう。
【経歴】 1987年、広島県生まれ。2006年より報道の現場で活動を開始し、政治・社会・経済ニュースの取材撮影に従事。これまでに1万人以上のタレント・著名人を撮影。2014年10月、ビジネス撮影に特化した写真事務所「deltaphoto」を設立。2017年4月、株式会社デルタクリエイティブとして法人化。現在は、これまでの経験をもとに「ビジネスにおける写真の価値」を再定義し、撮影現場のディレクションおよび品質管理に専念。あわせて、同社プラットフォームを通じて「プロフェッショナルの技術」と「ユーザーの想い」を繋ぐ活動に注力している。
【主な撮影・ディレクション実績】(順不同・敬称略)グーグル合同会社 / 三菱商事株式会社 / ボストン・コンサルティング・グループ / 株式会社NTTドコモ / 東京地下鉄株式会社(東京メトロ) / 日本テレビ放送網株式会社 / 株式会社サイバーエージェント / 株式会社集英社 / 株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ / 経済産業省 / 東京大学 / スペイン大使館 ほか多数